先日、Best Teacher
LissN(日経)の英会話レッスンで、採用にAIを活用する企業についてのニュースを題材に英作文を書いた。
返ってきた添削を見ると、冠詞と単数・複数についての指摘が多かった。
数えてみると、1つの英文の中に冠詞・単複の修正が10か所以上あった。
意味は通じているのに、それだけ直されるということは、単に間違いというより「英語らしさ」の問題なのかもしれない。
この記事では、その添削をきっかけに整理し直した、冠詞と単数・複数の考え方をまとめてみる。
添削を読み解いてみると、毎回この3つが問われている気がした。
- この名詞は数えられるか?
- 1つなのか、複数なのか?
- 特定のものを指しているのか?
- 英作文を書くとき「a か the か、何もつけないのか」でいつも迷う人
- 単数・複数と冠詞の関係を整理したい人
- 冠詞をルールとして覚えようとしているが、感覚がつかめない人
1. 冠詞が難しい理由 ── 日本語には「1個か複数か」を明示する仕組みがない
日本語で「新しいサービスが生産性を改善する可能性がある」と書くとき、いくつの可能性なのか、特定のものかどうかを意識することはあまりない。
英語にするとこうなる。
“possibility” には “the” がついている。なぜ “the” なのかと言えば、「文脈の中ですでに話されている、あの可能性」を指しているからだ。
同じ文でも、まだ特定していない1つの可能性という意味なら “a possibility” になる。
日本語の「可能性がある」という表現は、これを区別しない。英語は区別する。それが冠詞の難しさだと思う。
加えて、名詞が単数か複数かも関わってくる。英語では「その名詞が今1つなのか、複数なのか」を常に示さなければならない。
日本語では「従業員が時間を節約できる」と言えば済むが、英語では “employee” か “employees” かを選ぶ必要がある。
つまり、冠詞と単数・複数は別々の問題ではなく、同じ問いに対する2つの答えなのだと思う。
2. a / an ── 「数えられる1個、どれでもいい」のサイン
“a” または “an” は、「数えられる名詞が1つ、しかも特定されていない」ときに使う。
ここでの “a company” は「どこかの会社」という意味で、特定の1社を指しているわけではない。
「会社というものが(一般的に)考えるべきことだ」というニュアンスで、不特定の1社 = “a company” になる。
同じように、こういった場面でも使う。
“an AI interview” は、特定のシステムではなく「AIを使った面接というもの一般」として話しているので “an” がつく。
“merit” も「不特定のメリットが複数ある」という意味では複数形 “merits” になるが、「メリットという概念がある」という意味では “a lot of merit” のように不可算扱いで書くこともある。
初めて話題に出てくる名詞、「1つであれば何でもいい」という意味の名詞に使うのが “a / an” だ。
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3. the ── 「お互いにわかってる、あれ」のサイン
“the” は「話し手と聞き手がどのものを指しているかを共有している」ときに使う。
“the ideal impression” には “the” がつく。なぜかといえば、「会社が候補者に与えたいあの印象」という意味で、すでに文脈の中で特定されているからだ。
“the important thing” も「いまここで話している、その大事なこと」として特定されている。
2度目に登場するもの、文脈から「あれのことだ」と特定できるもの、そして世界に1つしかないもの(the sun、the government など)に “the” を使う。
4. 無冠詞 ── 一般論・抽象・数えないとき
冠詞をつけないのは、「数えない名詞(不可算名詞)」のときと、「複数形で一般論を話す」ときが多い。
❌ Employees can save the time.
✅ Employees can save time.
“time” は「時間という概念」を指しているので不可算で使う。この文では “the time” にすると「あの(特定の)時間」という意味になってしまい、意図とずれる。
❌ New employee can benefit from this system.
✅ New employees can benefit from this system.
「新入社員」を「個人」としてではなく「一般的な新入社員たち」として話すときは複数形にする。複数形で一般論を話す場合は冠詞なしになる。
「生産性を向上させる」「時間を節約する」など、動詞の目的語として抽象的な概念を置くときも冠詞なしになることが多い。
5. 添削が、自分の英語のクセを教えてくれる
今回の気づきのきっかけは、自分で英文を書いて、添削で10か所以上直されたことでした。
筆者はBest Teacher
で英語を勉強しています。
Best Teacher
は、英文ライティング・添削・英会話を通じて、総合的な英語力を伸ばせるオンライン英語学習サービスです。
自分で英文を書き、ネイティブ講師に添削してもらい、その添削内容をもとに英会話レッスンを受ける、という流れになっています。
このサービスのよいところは、「意味が通じる英文でも、英語らしくない部分を指摘してもらえる」ことです。
今回も、文として意味は通じているはずでした。
それでも、冠詞・単複の修正が10か所以上ついていた。
そこで初めて、「単に間違いではなく、日本語と英語の発想の違いが出ている」と気づくことができました。
「書く→直される→なぜ?」を繰り返すことで、次に同じような英文を書くとき、少し立ち止まれるようになってきます。
今回の記事も、添削で気づいたことをあとから整理し直したものです。
## 6. まとめ ── 3つを並べると単数・複数との関係が見えてくる
3つの使い分けを並べると、単数・複数との関係が分かりやすくなる。
| 単数可算 | 複数 | 不可算 | |
|---|---|---|---|
| a / an | ✅ 使える | ❌ 使えない | ❌ 使えない |
| the | ✅ 使える | ✅ 使える | ✅ 使える |
| 無冠詞 | ❌ 使えない(原則) | ✅ 使える | ✅ 使える |
“a / an” は単数可算名詞にしか使えない。逆に言えば、”a” が使えるかどうかは「その名詞が数えられる1つか」を確認することになる。
“the” は単数でも複数でも使えるが、「特定されているか」という条件がある。
無冠詞で単数を置くことは(固有名詞や慣用表現を除いて)原則としてできない。
この表を頭に入れておくと、「冠詞を考えるとき、同時に単数・複数も確認している」ということが分かる。
迷ったときは「この名詞は数えるか?いくつか?特定のものか?」という3つの問いに戻ると、答えが出やすい。
今回の添削で気づいたのは、冠詞の間違いの多くが「単数・複数の意識の甘さ」と一緒に起きていることだった。
冠詞だけ直そうとすると根本が変わらない。どちらかを考えると、もう一方もついてくる。
そういう関係だと知っておくだけで、英作文のときに立ち止まるポイントが少し変わる気がしている。

