ラジオを聞いていたら、こんな話題が流れてきました。
「1970年の大阪万博の終盤は、来場者が多すぎて会場の一つ前で下ろされた」というエピソードです。
「会場最寄り駅が混雑しすぎて降りられない」「最寄り駅で降ろすのは危険」といった状況だったそうです。
当時の最高来場者数はなんと 83.6万人。
ものすごい人数です。来場予約のシステムがなく、チケットさえあれば入場できたようなので、とんでもない混雑になってしまったのでしょう。
2025年の大阪・関西万博でも、私が訪れた日は来場者が 約20万人。
それでもかなり混雑していて、帰りは時間をずらさないと夢洲駅で長蛇の列になります。
そこでふと思いました。
「一つ前で下ろされた」って英語でどう言うんだろう?
調べてみると、「一つ前」は状況によって使う単語が違うようです。
場所・日付・時間・順序の4つに分けて考えると整理しやすいみたいです。
というわけで今回は、「一つ前」を英語でどう言うのかを、
この4つの場面ごとにまとめてみました。

「一つ前の駅で降りた」とか、「前の日に準備した」ってよく言いますよね。
でも、英語にすると before? previous? ago? どれを使えばいいの?
と意外と迷う表現です。
場所の「一つ前」:駅の場合
「一つ前」という言葉は、今いる位置を基準にして“空間的に前”にある場所を指すことが多いですよね。
たとえば「一つ前の駅」と聞くと、自然と“今いる駅の一駅手前”を思い浮かべるはずです。
英語でも同じように、空間的な前を表すときには、before や previous を使います。
どちらも「前の〜」という意味ですが、使う場面や響きが少し異なります。
例)
- I got off one station before.
(一つ前の駅で降りました。) - I got off at the previous station.
( 前の駅で降りました。)
※こちらはややフォーマルな表現になります。
before は「〜の前に」という意味で、数の概念と相性が良いので「one station before」のように使えます。
一方、previous は「順序的に前」というニュアンスで、アナウンスや書き言葉でよく使われます。
日付の「一つ前」
「一つ前の日」「前の週」「一時間前」など、“日付”に関する「前」もよく使いますよね。
この場合の「前」は、今の時点を基準にして“時間的に前”にある出来事を指します。
英語では、このような“時間の前”を表すときにbefore、previous、ago の3つがよく使われます。
どれも「前」を意味しますが、ニュアンスや使い方が少しずつ違います。
例)
- I prepared the day before.
(前の日に準備しました。) - We met the previous week.
(前の週に会いました。)
the day before は「今より一日前」を意味し、日常的で自然な表現です。
一方 previous は「順序的に前」を表し、少しフォーマルな響きになります。
ニュース・レポート・公式な文章などでよく使われます。
before/previousとagoの違い
“ago” は 「今から〜前」 という意味で、「基準が“現在”に固定される」点が before / previous と異なります。
| 表現 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
| the day before | (基準時点の)前の日 | I prepared the day before the meeting. (会議の前の日に準備しました。) |
| the previous day | 順序として前の日 | He traveled the previous day. (彼は前の日に出発しました。) |
| two days ago | 今から2日前 | I met him two days ago. (私は彼に2日前に会いました。) |
“ago” は「今」を基準にする表現なので、過去形とセットで使うのが基本です。
📌 まとめ
| 日本語 | 英語表現 | 補足 |
|---|---|---|
| 前の日 | the day before / the previous day | before は会話的、previous はフォーマル |
| 前の週 | the previous week | 書き言葉でよく使う |
| 一時間前 | an hour before | before が自然 |
| 2日前 | two days ago | 「今から」前を表す |
ポイント:「基準の取り方」によって単語を使いわける。
- “before” は「ある基準の前」
- “previous” は「順序的に前」
- “ago” は「今から前」
この3つの使い分けを意識すると、「前の日」「一時間前」などがぐっと自然に言えるようになります。



日本語にすると、どれも「前の日」「2日前」など同じように聞こえますよね。
でも英語では、“どの時点を基準にして前なのか”で単語が変わります。
時間の「一つ前」
「一時間前」「5分前」「直前」など、“時間”に関する「前」も日常でよく使いますよね。
この場合の「前」は、今の時刻を基準にして“時間的に少し前”を意味します。
会議・出発・到着など、特定の“出来事の時刻”を基準に「その前に〜した」と言いたいときに使われます。
例)
- I arrived an hour before.
(一時間前に到着しました。) - He left five minutes earlier.
(彼は5分前に出発しました。) - The train departed ten minutes ago.
(電車は10分前に出発しました。)
before は「ある基準時点より前」を表す万能な表現。
earlier は「相対的に少し前」「予定より早く」というニュアンスで、会話でよく使われます。
一方 ago は「今」を基準にした絶対的な前を表します。
before/earlier/ago
| 日本語 | 英語表現 | 解説 |
|---|---|---|
| 一時間前 | an hour before | before は基準の前を表す万能語 |
| 5分前 | five minutes earlier | earlier は柔らかく比較的な「少し前」 |
| 10分前 | ten minutes ago | ago は「今」を基準にした絶対的な前 |
ポイント:「基準の取り方」によって単語を使いわける。
- “before” は「基準より前」
- “earlier” は「予定・比較上の前」
- “ago” は「今から前」
順序の「一つ前」:並びや順番を表す場合
最後に、“順番”としての「一つ前」を見てみましょう。
ここでは、並びやリストの中で“前にあるもの”を指すときの表現です。
日本語では「一つ手前」「前の番号」「前のバージョン」などと言いますね。
例)
- Please check the previous number.
(前の番号を確認してください。) - The one before was better.
(一つ前のほうが良かった。) - I preferred the previous version.
(前のバージョンの方が好きでした。)
previous は「順序的に前の〜」という意味で、連続する項目・回数・番号などの中で“前のもの”を指すときに使われます。
一方 the one before は会話で自然な言い方で、「一つ前の〜」「手前の〜」のような柔らかいニュアンスになります。
📌 まとめ
| 日本語 | 英語表現 | 補足 |
|---|---|---|
| 一つ手前 | the one before | 会話的で柔らかい表現 |
| 前の番号・項目 | the previous number / item | 説明・案内などで使われる |
| 前のバージョン | the previous version | IT・商品・資料などで定番 |
“順序の前”は「空間や時間」と違い、
リストや回数などの並び順を基準に「前のもの」を表します。
フォーマルには previous、会話では the one before を使うのが自然です。
まとめ
ここまで、「一つ前」を英語でどう表すかを、場所・時間・時刻・順序の4つの場面に分けて整理してきました。
使われる単語は before や previous など、どの場面でも似ています。
でも実際には、何を基準に“前”とするかで使い分けが変わります。
- 🚉 場所 → 今いる位置を基準にした “空間的な前”
- 🗓️ 日や週 → 出来事や日付を基準にした “時間的な前”
- ⏰ 時刻 → 現在や特定の時点を基準にした “瞬間的な前”
- 🔢 順序 → 並びや番号を基準にした “順序的な前”
日本語ではどれも「前」と言えてしまいますが、
英語では “基準をどこに置くか” が意味を決める鍵になります。
同じ “before” でも、「今より前」なのか、「出来事より前」なのかで伝わるニュアンスが変わります。
だからこそ、「何を基準に前と言うのか」を意識して使うことが大切です。
英語の「前」は、ただの時間や位置の表現ではなく、話し手が“どの視点から見ているか”を示す表現でもあります。
日本語では一言で済む「一つ前」も、英語では文脈と基準を意識して選ぶことで、より正確で自然な表現になります。



